個人事業を廃止して法人成りしたことに伴い、従業員退職金(預り金経理)を個人事業を廃止した年分の必要経費に算入することができるか否かが争われた事案があります。
結論から言うと、請求人(できると言っているほう)の主張が認められています。
その主な理由としては、
退職金支給規定の記載及び本件労使協定書の記載から、法人成りは退職金の支給事由に予定されていないことになり、請求人らの退職金支払債務が成立したとすることができない旨の原処分庁(できないと言っているほう)の主張については、ことさら本件労使協定書の一部のみを取り上げているもので、それだけで債務の成立がないと判断することはできないこと
本件退職金は、債務が成立しており、所得税法第37条に規定する確定債務として、従業員各人別に金額が明確にされて、今後の営業活動に必要な事業資産とともに法人に引き継がれ、法人成り後にその法人を退職した者に対しては、法人成り後の退職金支給規定に基づいて退職金が適正に支払われており、その法人の勤務期間に係る退職金部分のみ損金にする経理処理がされているから、経済取引としての合理性を欠くということまではいえないこと
を挙げています。
この事案にあたって、個人的な印象としてまず感じたのが「ちゃんとしている」ということです。
全体を通して、総じて請求人が取るべき手続きなどを一貫してちゃんと取っています。
そのため原処分庁の言い分が少し弱くなる。
「ちゃんとしている」には、やはり一定の力があるなと思った事例です。
(注)執筆時点の商品・サービス・法令等に基づいて作成しています。また、個別具体的な事例に適用する場合、記事の内容と異なる可能性があることにご留意ください。
【編集後記】
午後に訪問MTG
夕方ゆるゆると90分ラン