令和5年度の会計検査院の決算検査報告から「相続等により取得した財産のうち取引相場のない株式の評価」について、問題視されている事項について考察してみます。
2つあります。
- 原則的評価方式による評価について、類似業種比準方式による評価をすれば純資産価額方式による評価に比べて、評価が相当程度低くなる。
- 特例的評価方式(いわゆる配当還元方式)による評価について、還元率10%は近年の金利水準と比べて高いため、評価が低くなる。
専門的すぎてよくわかりませんね。
相続財産の中に株式があれば、それも財産としてカウントしなければいけません。
上場していて日々値動きがあるような株式であれば、その株式はどのくらいの価値があるか(いわゆる株価)は客観的にわかります。
でも、世の中上場している株式ばかりではありません。
むしろ、上場していない株式のほうが無数にあります。
その上場していない株式をどのように評価するかという話です。
1つめは、それを原則的に評価した場合の話。
原則的な評価の方法は、類似業種比準方式と純資産価額方式、そしてこの2つを併用する方式に分かれています。
このうち、類似業種比準方式を採用できたら株式の評価って安くなるんじゃね?と言っています。
これは、この業界では常識とも言える話です。
類似業種比準方式の計算式にはてはめると、配当をしていない会社は株価が低く出るようになっているからです。
中小企業(上場していない株式)は、配当をするという意識が低いので、計算式に当てはめると評価が低く出る傾向にあります。
それを問題視しているということです。
2つめは、特例で評価した場合の話。
1つめの原則的な評価は、いわゆる大株主の方法で、少数株主の場合、採用される評価方法は特例的な評価に変わります。
特例的評価方式では、配当を一定の割合で還元した(割り戻した)金額が、株式の評価になります。
配当によせた評価をするということです。
例えばざっくりした計算で、年5,000円の配当をしている会社だと
5,000円÷10%=50,000円で1株の評価は50,000円になります。
持っている株式の10%が配当でもらえているから、その株式の価値はその配当の10倍だよねという計算です。
ポイントは、この還元率が10%で固定されているところです。
ただ近年、利益の10%を配当している会社は稀ですよね。
この還元率が高いと株式の評価は低く出ます。
ですので、この10%が高すぎるんじゃね?と言っています。
この還元率が8%だった場合、先ほどの計算式に当てはめると
5,000÷8%=62,500円で1株の評価は62,500円になります。
はてさて、このような指摘をうけてどのように(国税庁が)考えるか、注目しておきたいところです。
(注)執筆時点の商品・サービス・法令等に基づいて作成しています。具体的な事例に適用するには記事の内容と異なる場合がある可能性にご留意ください。
【編集後記】
冬タイヤに交換
以前は自分でやっていたこともありましたが
今は専門家にお任せです
そのほうが安全ですしね