日本の年金給付について語るときにはずせないのが、マクロ経済スライドという考え方です。
マクロ経済スライドとは、日本の年金制度において、物価や賃金の変動だけでなく、現役世代の減少や平均寿命の伸びなどの社会全体の状況を考慮して、年金の給付水準を自動的に調整する仕組みのことです。
具体的には、物価や賃金の上昇率から、現役世代の減少と平均寿命の伸びに応じて算出された「スライド調整率」を差し引くことで、年金の給付水準が調整されます。
つまり、物価や賃金が上昇しても、スライド調整率によって、給付される年金額が抑えられたり、減少したりすることがあります。
スライド調整率は、ざっくり次のような計算になります。
スライド調整率 = (1 – 公的年金全体の被保険者数の減少率) × (1 + 平均余命の伸びを勘案した一定率) – 1
例えば、公的年金全体の被保険者数が1%減少し、平均余命の伸びを勘案した一定率が0.3%の場合、スライド調整率は以下のようになります。
スライド調整率=(1-0.01)×(1+0.003)- 1 = -0.7%
この結果、物価や賃金が上昇しても、給付される年金額は0.7%減少することになります。
平均余命の伸びには限度がありますので、次第にゆるやかになってくるとしても、人口減少による被保険者数の減少は抑えられません(むしろ加速していきます)。
ですので、今後は給付される年金額が減ることは避けられないのですが、人口ボリュームは、世代で変わっていきます。
ずっと減るばかりではなく、現役世代と給付世代のバランスは、いずれとれてくる頃合いもあるということです。
そう考えると、年金はもらえないというのは本当なのか。
いずれにしても、もう少し勉強が必要そうです。
(注)執筆時点の商品・サービス・法令等に基づいて作成しています。具体的な事例に適用するには記事の内容と異なる場合がある可能性にご留意ください。
【編集後記】
今週は喉の痛みから
体調を崩してしまいました
できる対策をとらなければ